フェイス&ネックリフト(5つの術式)
Facelift and necklift
顔のたるみを引き上げ、若々しい印象に

フェイス&ネックリフトは、顔から首元にかけてのたるみやしわを改善する施術です。効果が長く続き、傷跡も目立ちにくいのが特徴です。根本的にたるみを改善できる方法で、当院では主に5つの術式を行っています。
加齢に伴い顔がたるむ5つの理由
顔がたるむのは皮膚だけが原因ではありません。加齢によって、次のような多層的な変化が同時に進むことがわかっています。
1.真皮構造の変性
加齢により、真皮に存在するコラーゲン(Collagen)およびエラスチン(Elastin)の量が減少・変性します。これにより、皮膚の張力(Tensile strength)や弾力性(Elasticity)が低下し、皮膚が垂れやすくなります。
2.皮下脂肪の変化
皮下脂肪組織(Subcutaneous fat tissue)は、顔面において脂肪コンパートメント(Fat compartments)として配置されています。加齢とともに脂肪の萎縮(Atrophy)、移動(Ptosis)、あるいは再配置(Redistribution)が起こり、特に頬部(Midface)や下顎部(Jaw)におけるたるみを引き起こします。
3.表在性筋膜系の弛緩
SMAS(Superficial Musculoaponeurotic System:表在性筋膜系)は、顔面軟部組織を支持する重要な構造です。加齢によりSMASの弛緩(Laxity)や下垂(Descent)が進行し、顔全体の輪郭が不明瞭になります。
4.支持靱帯の緩み
顔面には、リガメント(Retaining ligaments)と呼ばれる支持靱帯が存在し、皮膚や脂肪組織を骨に固定しています。加齢によりこれらの靱帯が延長(Elongation)・弛緩(Laxity)し、組織の下垂が助長されます。
5.骨格構造の変化
加齢に伴い、顔面骨(Facial bones)、特に眼窩(Orbital rim)、上顎骨(Maxilla)、下顎骨(Mandible)の骨吸収(Bone resorption)が生じます。これにより、軟部組織を支える基盤が縮小し、相対的なたるみが強調されます。

これらの変化は個人差があり、生活習慣や遺伝的要因、紫外線曝露、喫煙などの外的因子も影響します。加齢による顔面のたるみは、皮膚・脂肪・筋膜・靱帯・骨という多層構造の変性と支持力の低下によって生じるのです。
外科的な弛み(たるみ)治療について
たるみ治療にはいくつかの方法があります。
レーザーやHIFUなどの医療機器、ヒアルロン酸などの注入療法、糸によるスレッドリフトなどがありますが、その中で最も高い効果が期待できるのが外科的なフェイスリフトです。
その分、身体への負担やダウンタイム、リスクは大きくなりますが、根本的にたるみを改善できる治療法といえます。
当院で行っているフェイスリフトは次の5つです。
- SMASリフト(SMAS facelift):中顔面~下顔面リフト
- こめかみリフト
- 前額部リフト(Forehead lift / Brow lift)
- ネックリフト(Neck lift)
- ミッドフェイスリフト(Midface lift)
1.SMASリフト(SMAS facelift):中顔面~下顔面リフト
SMASリフトは、皮膚と筋肉の間にある「SMAS層」を直接引き上げて固定する手術です。皮膚だけを引っ張る不自然な仕上がりを避け、頬やフェイスライン、二重あごを根本から改善できます。
- 効果が長持ちしやすい(5~10年程度持続)
- 仕上がりが自然(皮膚だけを引っ張る不自然な仕上がりになりにくい)
- ダウンタイムや手術リスクはあるが効果は最も高い
手術の方法と経過
皮膚の切開は3つのラインに沿って行います。
①耳の前(耳の輪郭に沿うように)から始まり
②耳の下、耳たぶのまわりを通り
③場合によっては耳の後ろ、髪の毛の生え際にかけて延長されます
このように切開ラインを耳の自然なカーブや髪の毛の中に隠すことで、傷跡が目立ちにくくなります。



2.こめかみリフト
こめかみリフトは、こめかみ部分から皮膚や組織を持ち上げるリフト手術です。
主に、
・目尻のたるみやシワ
・外側のまぶたのたるみ
・頬の外側の下がり
といった変化を改善することができます。
特徴と効果
・こめかみを引き上げることで、目元がパッチリ明るい印象になります。
・外側のまぶたがすっきりするため、「眠そうに見える」「老けて見える」といった印象の改善にもつながります。
・法令線やフェイスラインへの効果は限定的ですが、目元の若返り効果は高い手術です。
・切開は髪の毛の生え際(もみあげ付近)に隠すことが多いため、傷跡は目立ちにくいです。
手術の方法と経過
こめかみリフトのアプローチには、以下の2つの方法があります。
① 目尻のみのリフトなら側頭部の生え際に限局した切開を行います(下記症例)。
② 目尻から頬(midface)にかけてのリフトなら耳輪まで切開を伸ばします。




3.前額部リフト(Forehead lift / Brow lift)
前額部リフトは、額から眉毛・まぶたにかけてのたるみを改善する手術です。加齢によって眉毛が下がったり、上まぶたが重くなったりすると、目が小さく見えたり「疲れた印象」になりがちです。この手術では額の皮膚や筋肉を引き上げることで、若々しく明るい目元を取り戻すことができます。
特徴と効果
・眉毛の位置が上がることで、目元がすっきりし、目が開きやすくなる
・上まぶたのたるみが改善し、二重のラインがきれいに見える
・額の横ジワを軽減できる場合もある
・結果として、表情が明るく若々しい印象に変わる
手術方法
・切開は髪の毛の生え際や頭皮内に行うため、傷跡は目立ちにくいです。
・皮膚だけでなく筋肉や組織も調整することで、自然で長持ちする効果が期待できます。
4.ネックリフト(Neck lift)
ネックリフトは、首からあごのラインにかけてのたるみやしわを改善する手術です。年齢とともに首の皮膚や筋肉がゆるむと、二重あごや「首のしわ・たるみ」が目立ちやすくなり、フェイスラインが不明瞭になってしまいます。
ネックリフトでは余分な皮膚や脂肪を取り除き、筋肉を整えることで、すっきりとした若々しい首元とフェイスラインを取り戻すことができます。
特徴と効果
・首のたるみやしわを改善
・二重あごやもたつきを解消し、シャープなフェイスラインを実現
・顔と首のバランスが整い、全体的に若々しい印象に
手術方法
・耳の後ろや髪の生え際を切開するため、傷跡は目立ちにくいです。
・皮膚を引き上げるだけでなく、筋肉や脂肪の調整も行うことで、自然で長持ちする効果が期待できます。
5.ミッドフェイスリフト(Midface lift)
ミッドフェイスリフトは、顔の中顔面(頬の部分)を中心に行うリフト手術です。年齢とともに頬や目の下の脂肪や皮膚が下がることで、目元のくぼみやほうれい線が目立ち、老けた印象になります。
ミッドフェイスリフトでは、この頬の下垂を改善し、若々しくハリのある顔立ちに整えます。
当院では主に、バギーアイ(影グマ)に対して経皮的下眼瞼形成術(表ハムラ法)を行う際に、同時に行っています。
頬部の部組織(深部脂肪、眼輪筋下脂肪)を挙上し、眼窩下縁の骨膜に縫合固定することで、ほうれい線を浅くして、頬全体をリフトアップします。
手術の合併症
フェイス&ネックリフトは顔や首元のたるみを改善し、若々しい印象を取り戻す手術ですが、すべての手術と同様に一定のリスクがあります。
ここでは、患者さんに知っていただきたい代表的な合併症をまとめました。
1.腫れ・内出血
手術後は顔が腫れたり、あざ(内出血)が出ることがあります。通常は1〜2週間で徐々に落ち着きます。
2.感覚の変化(しびれ)
手術により皮膚の神経が一時的に影響を受けることがあり、頬や耳の周りにしびれや違和感を感じることがあります。ほとんどの場合は数か月で改善します。
3.傷跡
切開部分は時間の経過とともに目立たなくなることが多いですが、完全に消えることはありません。手術後は丁寧なケアが重要です。
4.血腫(けっしゅ)
まれに手術部位に血液がたまり、腫れや痛みの原因になることがあります。必要に応じて処置を行います。
5.神経障害
顔面の表情を作る神経が一時的に弱くなることがあります。大部分は回復しますが、まれに一部が長引く場合があります。
6.感染
手術後に細菌感染を起こすことは稀ですが、赤みや熱感、痛みが強い場合はすぐにご相談ください。
治療費用
費用については、当院ホームページにてご確認ください。
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