ヴィーナス京都で講演|40代から始める「免疫美容」と「たるみ治療」
2026年9月30日、京都にて「40代から始める『免疫美容』と『たるみ治療』~科学的に『老い』を見つめ、根拠ある若返りへ~」をテーマに講演を行いました。
会場となったのは、これまでも美容や健康をテーマにしたセミナーを開催してきた「ヴィーナス京都」です。
今回は一般の皆さまに加え、日頃より連携させていただいている株式会社グリッドの職員の皆さまにもご参加いただきました。「免疫」「健康寿命」「美容」「たるみ」という、一見異なるようで、実は密接につながっているテーマについてお話しする機会となりました。

今回の講演でお伝えしたかったのは、単に「若く見えること」を目指す美容ではありません。
年齢を重ねることを否定するのではなく、身体の中で起きている変化を科学的に理解し、健康と美容の両面から、自分らしく年齢を重ねていくこと。
これは、私たち医療法人社団いのちの杜・銀座こもれびクリニックが大切にしている「ロンジェビティ(Longevity)」の考え方にもつながっています。
40代から考えたい「免疫老化」
今回、特に時間をかけてお話ししたテーマの一つが「免疫」です。
免疫というと、風邪や感染症から身体を守る仕組みをイメージされる方が多いかもしれません。しかし、免疫の役割はそれだけではありません。
病原体への対応に加え、傷ついた細胞や組織への反応、異常な細胞の監視など、私たちの身体を守るための複雑なシステムとして働いています。
講演では、免疫を単なる感染防御ではなく、「生体防御の総合システム」として捉えることの大切さをお伝えしました。
そして、免疫システムも年齢とともに変化していきます。これが「免疫老化(Immunosenescence)」です。
例えば、免疫細胞の一つであるT細胞の成熟に重要な役割を担う「胸腺」は、加齢とともに変化します。こうした免疫機能の変化は、私たちが年齢を重ねていく過程を理解するうえで重要な視点です。
「老化」というと、シワやたるみ、白髪など、目に見える変化に意識が向きがちです。しかし、その背景では、代謝、ホルモン、筋肉、睡眠、免疫など、身体を支えるさまざまなシステムが少しずつ変化しています。
だからこそ40代以降は、外見だけでなく、身体の内側で何が起きているのかにも目を向けることが大切だと考えています。
健康と美容を切り離さない
私が美容医療に取り組むうえで大切にしている考え方があります。
「真の美容は、心と身体の健康があって初めて成り立つ」ということです。
今回の講演では、次のような視点についてもお話ししました。
- 他人と比較するのではなく、自分らしい自然な美しさを目指すこと
- 暦年齢だけでなく、身体の状態を捉える指標の一つである「生物学的年齢(Biological Age)」にも目を向けること
- 美容の土台として、日々の健康を大切にすること
何歳に見えるかだけを競うのではなく、健康で、活動的で、自分らしく人生を楽しめる時間をどれだけ長くしていけるか。
私たちが目指すロンジェビティも、単に寿命を延ばすことだけではなく、健康に、自分らしく生きられる時間を大切にするという考え方に基づいています。
美容医療もまた、その実現を支える選択肢の一つです。
免疫と健康を支える、毎日の「睡眠」
講演では、睡眠についても取り上げました。
仕事や家事、育児などを優先するあまり、つい睡眠時間を削ってしまうことはないでしょうか。
しかし、睡眠は単なる休息ではありません。身体と脳の機能を整え、日中の活動を支える大切な時間です。また、睡眠と免疫機能には密接な関係があり、健康的に年齢を重ねていくうえでも欠かせない要素です。
今回は「免疫を高める特効薬『睡眠』」というテーマを設け、睡眠と免疫、そして健康寿命との関係についてお話ししました。
もちろん、睡眠だけですべてが解決するわけではありません。高価な治療や特別な健康法を考える前に、毎日の睡眠、食事、運動といった生活習慣の土台を見直すことも重要です。
ロンジェビティを考えるうえでは、こうした日々の積み重ねを疎かにすることはできません。
「たるみ」は医療だけでなく、日々の習慣から考える
講演の後半では、美容医療のテーマとして「たるみ」についてお話ししました。
顔のたるみは、単純に皮膚だけの問題ではありません。皮膚や皮下組織、脂肪、支持組織、筋肉、骨格など、さまざまな要素が複合的に関係しています。
そのため、ただ引き上げればよいという単純なものではなく、一人ひとりの状態に応じて考える必要があります。
今回は、日常的なセルフケアに加え、「取り入れたほうがよい美容」だけでなく、「やり過ぎないほうがよい美容」という視点からも解説しました。
そのうえで、セルフケアだけでは対応が難しくなってきた変化に対して、美容医療にはどのような選択肢があるのかをご紹介しました。
大切なのは、セルフケアと医療を対立させるのではなく、それぞれの役割を理解し、適切に使い分けることです。
日々の生活習慣を整え、肌や身体の状態を健やかに保つこと。そして、必要に応じて医療の力を活用すること。
「老い」を正しく知ることが、根拠ある美容と、よりよい選択への第一歩だと考えています。
講演後はランチと美容施術の体験も
講演終了後は、参加者の皆さまと一緒にランチをいただきました。
セミナーという形式の中ではなかなか聞けない、美容や健康に関する疑問、日頃感じている身体の変化などについてもお話しすることができ、私自身にとっても大変有意義な時間となりました。
その後は、実際に美容施術を体験していただく機会も設けました。
知識として美容医療を知るだけでなく、実際に体験することで、その内容や可能性をより身近に感じていただけたのではないかと思います。
「学ぶ」「食べる」「話す」「体験する」。
こうした時間を共有することも、美容や健康について考え、自分自身の身体と向き合うきっかけになるのではないでしょうか。
株式会社グリッドの新しい取り組みを見学

夕方からは、日頃より連携している株式会社グリッドの施設を見学させていただきました。
株式会社グリッドは京都を中心に、訪問看護・訪問介護・居宅介護支援、重心型放課後等デイサービス、ナーシングホームなど、医療・介護・福祉にまたがる幅広い事業を展開されています。
女性専用マシンピラティススタジオ「Calia(カリア)」
最初に見学したのは、2026年9月にオープンした女性専用マシンピラティススタジオ「Calia(カリア)」です。
公式サイト:マシンピラティススタジオ Calia(カリア)
Caliaは、医療専門職が監修し、運動と栄養の両面から、一人ひとりに合った「美習慣」をサポートするスタジオです。少人数制を採用し、身体評価なども取り入れながら、無理なく運動を続けられる環境づくりに取り組まれています。

今回の講演でも、健康寿命や美容を考えるうえで、日常的な運動の重要性についてお話ししました。
医療機関で治療を行うだけでなく、日常生活の中で健康を維持し、身体を整えるための場所をつくること。
こうした取り組みは、私たちが目指すロンジェビティの考え方とも深くつながっていると感じました。
健康を支えるためには、医療による介入だけでなく、一人ひとりが無理なく健康的な習慣を続けられる環境も大切です。Caliaの取り組みから、予防や日常的な身体づくりを支える場の意義を改めて感じました。
重心型放課後等デイサービス「ぽっけのなか」
もう一つ見学させていただいたのが、重心型放課後等デイサービス「ぽっけのなか」です。
「ぽっけのなか」は、重症心身障がいのあるお子さまや、医療的ケアを必要とするお子さまを対象とした少人数制の施設です。

看護師が常駐し、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの専門職による個別リハビリも行われています。
また、医療的ケアにとどまらず、創作活動や音楽、季節に合わせたさまざまな体験を通して、お子さまたちが安心して過ごせる「居場所」を目指した取り組みが行われています。
実際に施設を見学し、スタッフの皆さまのお話を伺うなかで、私自身、心を動かされるものがありました。
医療や福祉は、単に病気を治したり、必要な処置を行ったりするだけのものではありません。
その人が、その人らしく生活するために、医療や専門職に何ができるのか。
これは、子どもであっても、高齢者であっても、そして私たちが取り組んでいる予防医療やロンジェビティであっても、根底に通じる考え方ではないかと思います。
重症心身障がいのあるお子さまと、そのご家族が安心して地域で生活していくためには、医療・看護・リハビリ・福祉が連携し、日々の暮らしを支えていくことが重要です。
その取り組みを実際に拝見し、私自身も医師として、また医療法人として、何か協力できることがあれば、少しでも力になりたいと強く感じました。
医療を「病気になってから」のものにしない
今回の京都での一日を通して、改めて感じたことがあります。
医療は、病気になった人を治療することだけではありません。
病気になる前から健康を支えること。年齢を重ねても自分らしく過ごせるように支えること。美容を通して前向きな気持ちを支えること。そして、医療的ケアを必要とする方と、そのご家族の暮らしを支えること。
その一つひとつが、これからの医療に求められる大切な役割だと考えています。
私たち医療法人社団いのちの杜・銀座こもれびクリニックでは、形成外科・美容医療という専門性を軸に、予防医療、免疫、再生医療、産業保健、福利厚生医療など、さまざまな角度から、健康に自分らしく生きられる時間を延ばすための取り組みを進めています。
今回の講演タイトルに掲げた「科学的に『老い』を見つめ、根拠ある若返りへ」という言葉には、単に見た目を若返らせるだけでなく、老化という現象を正しく理解し、身体の内側と外側の両面から向き合っていきたいという思いを込めました。
年齢を重ねることを否定するのではなく、自分の身体を知り、適切にケアし、自分らしく人生を楽しめる時間を育んでいく。
そのために、医学・美容・健康・福祉といった従来の垣根を越えながら、これからも皆さまの健康寿命と、より豊かな人生に貢献できる医療を目指してまいります。
今回ご参加いただいた皆さま、そして貴重な交流と施設見学の機会をいただいた株式会社グリッドの皆さまに、心より感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。


